北海道は最近、急に寒くなってきました。これからは外気温が下がり、外気の乾燥も進みます。室内でも暖房器具を使用することで湿度が低下します。また、夏に比べて体からの発汗量が減少します。それらの色々な原因が重なって私達の皮膚が乾燥してしまいます。
皮膚が乾燥すると、皮膚の一番外側の角質層の水分が失われます。角質層が充分に水分を含んでみずみずしいと、皮膚が潤っていると感じます。角質層の水分量は、毛穴の皮脂腺から出る皮脂（あぶら）、角質細胞間に存在するセラミドを主体とする角質細胞間脂質、低分子アミノ酸を主体とする天然保湿因子などにより一定に調節されています。皮脂は汗などの水分と混じり合って皮膚の表面をおおう皮脂膜を形成します。健康な皮膚では皮脂膜が皮膚の表面を滑らかに保ち、角質層からの水分の蒸発を防ぎ、同時に外部からの細菌、ウイルス、環境蛋白抗原などの侵入を防いでいます。これを皮膚のバリア機能といいます。
皮膚が乾燥してドライスキン（皮脂欠乏皮膚）になると、バリア機能が低下して、環境蛋白抗原などが容易に侵入して皮膚炎を発症しやすくなります。特に下腿（すね）は皮脂腺の数が少ないため、皮脂欠乏性皮膚炎が最も強く現れます。
対策として、保湿剤を毎日正しく塗るスキンケアの習慣を持ちましょう。入浴やシャワーで体を清潔にした直後、まだ角質層に水分が残っているうちに、保湿剤を丁寧に適量塗ることが大切です。一方、シャンプーなどに入っている界面活性剤による過度の洗浄は、皮膚の乾燥を強め、皮膚炎発症の誘因になるので控えましょう。
角質層の水分は、皮膚のしなやかさにとってとても重要です。寒い季節も皮膚の保湿を心がけ、潤いのある美しい肌を保つようにしたいものです。
2012年11月５日の北海道新聞夕刊の健康アドバイス欄に「寒い季節のスキンケア」が掲載されました。
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