夏は水虫が増える季節です。水虫は、皮膚や爪や毛などに存在するケラチンという蛋白質を栄養源とするカビ(白癬菌)が、そこに寄生することによって生じる感染症です。足に生じれば足白癬、爪に生じれば爪白癬といいます。白癬の感染は罹患している人の病巣からの直接感染や、罹患している人から落ちたふけや毛が付着したスリッパや足拭きマット、畳、絨毯などとの接触による間接感染があります。 足白癬には、趾間にふやけた角層と赤いびらんが認められる趾間型、土踏まずや足の縁などに小さな水疱が多発する小水疱型、足底全体の角層が厚くなってふけが多く出る角質増殖型があります。趾間型は細菌の二次感染を起こしやすい、小水疱型は痒みが強い、角質増殖型は高齢者に多く痒みがほとんどないなど、それぞれ特徴があります。 足の爪白癬は自身の足白癬から連続的に菌が爪の中に侵入して発症します。爪白癬では爪が黄白色に混濁して厚くぼろぼろになり、透明で薄い本来の爪の状態ではなくなってしまいます。 趾間型や小水疱型の足白癬は、抗真菌薬の外用剤を塗布することで治癒が見込めます。ただし数カ月以上、1〜2年程度、根気良く塗布することが必要です。一方、角質増殖型の足白癬と爪白癬は外用剤では根治は難しく、抗真菌薬の内服治療が必要です。現在一般に用いられている経口抗真菌薬はイトラコナゾールとテルビナフィンの2種類です。血液検査を数回繰り返しながら内服治療を受ける必要がありますが、殺真菌作用が強く優れた臨床効果が見込めます。 白癬の感染を促進する因子として、局所の発汗とむれ、皮膚の傷、副腎皮質ステロイド薬の塗布などがあります。患部を清潔に保ち、高温多湿を避け、スリッパや足拭きマットなどは頻回に洗って日に乾すようにするとよいでしょう。