患者が最も多いのは50歳代。3人に一人が80歳までに発症
水痘(すいとう=みずぼうそう) ・帯状疱疹(ほうしん)ウイルスは初感染では水ぼうそうを発症し、その後ウイルスは脊髄後根神経節細胞に潜伏して、生涯、 持続感染します。
このウイルスが再活性化されると、その神経が支配する領域に痛みを生じ、皮膚に帯状に小水疱が多発する帯状疱疹を発症します。再活性化は過労(ストレス)時、外傷時、抗がん剤や免疫抑制剤などの投薬時、神経節部への放射線照射後、老化による免疫力低下などで起こります。男性よりも女性に多く発症します。抗ヘルペスウイルス薬の内服や外用などが有効で、約3週間の経過で治癒します。
宮崎県での過去15年間の帯状疱疹の集計結果(宮崎スタディ)から、宮崎県では8月に帯状疱疹が多く、冬に少ない傾向がありました。また、結果を総合して、日本では1年間に約60万人が帯状疱疹に罹患し、80歳までに3人に1人が発症することが推定されました。当院には過去3年間に344人の帯状疱疹の初診がありました。春、夏にやや多い傾向(185人)があり、女性は252人と男性の性の2・7倍でした。13歳の男児から87歳の女性まで幅広い年齢層の方が受診していますが、最も多いのは50歳代(66人)でした。
帯状疱疹の問題は、急性期帯状疱疹痛および帯状疱疹後神経痛を合わせた帯状疱疹関連痛を伴い、それにより生活の質が著しく低下することです。そこで、帯状疱疹が増加している50歳以上に対して主要先進国では、帯状疱疹の発症を半減し、神経痛を3分の1に減少させる「帯状疱疹予防ワクチン」の接種が推奨されています。日本では 「水痘ワクチン」を帯状疱疹予防目的で接種することが可能です(保険適用外。費用は9000円ほど。病院によって異なります)。接種後でも帯状疱疹に罹患することはありますが、皮疹は軽症で、重症の帯状疱疹関連痛も少ないことが判明しています。接種を希望する場合は医療機関に問い合わせてみてください。
2015年2月25日号のオントナに「過労や免疫力低下などで発症しやすい帯状疱疹 ―ワクチン接種で軽症化します―」の記事が掲載されました。