―効果的な外用治療剤が使用できるようになりました―
爪に塗るだけの外用抗真菌薬が登場しています
夏は水虫が増える季節です。水虫は、皮膚や爪などに存在するケラチン蛋白(たんぱく)、を栄養源とする白癬(せん)菌というカビが、 そこに寄生することによって生じる感染症です。足に生じれば足白癬、爪に生じれば爪白癬といいます。 爪白癬では爪が黄白色に混濁して厚くぼろぼろになり、透明で薄い本来の爪の状態ではなくなってしまいます。足だけではなく手の爪にも白癬が生じることがあります。
従来、爪白癬は外用剤での根治は難しく、経口抗真菌薬であるイトラコナゾールやテルビナフィンの内服治療が必要とされてきました。しかし、2014年9月から、外用抗真菌薬であるトリアゾール系のエフィナコナゾールが発売され、さらに今年の4月からイミダゾール系のルリコナゾールの高濃度液(5%)が発売され、両薬剤とも爪白癬の健康保険適応になっています。
経口抗真菌薬は肝機能障害や血液障害を起こす可能性があるため、半年程度の期間、血液検査を数回繰り返して確認しながら治療を受ける必要がありますが、治療効果は高く、爪白癬への有効率はおよそ85%といわれています。一方、エフィナコナゾールやルリコナゾール液の外用治療の場合は、1日1回、罹患爪全体に薬液を塗るだけで、爪の中に有効成分が良く浸透し、白癬菌の細胞膜のエルゴステロールの生合成を阻害して効果が現れますが、有効率はだいたい70%程度ではないかといわれています。
今まで、経口抗真菌薬の副作用が心配で爪白癬の治療をあきらめていた患者の皆さんも、試してみる価値があるかもしれません。ただし、外用抗真菌薬により周囲の皮膚に紅斑や水疱(すいほう)、そう痒(よう)、乾燥、疼(とう)痛などの副作用が現れることがあります。罹患爪に外用する際に、周囲の皮膚に漏れないように心がける、漏れたら拭き取るなどの工夫が必要です。爪白癬の外用治療を希望する場合は、一度皮膚科専門医に相談してみると良いでしょう。
オントナ8月10日号に添付の『爪の水虫(白癬)の治療ー効果的な外用治療剤が使用できるようになりましたー』が掲載されました。