― ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を週2回程度塗布する方法です ―
2016年の日本皮膚科学会からのアトピー性皮膚炎診療ガイドライン(改訂版)で、新たに「プロアクティブ療法(維持療法)」が推奨されました。この治療法は、アトピー性皮膚炎の急性期にステロイド外用薬やタクロリムス外用薬による治療で炎症のない状態にまで改善した皮膚に、その後もステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を週2回程度塗布することで皮膚炎の再燃を予防する方法です。
トライアルでは、ステロイド外用薬とタクロリムス外用薬の両薬剤とも皮膚炎の再燃を予防できたことから、アトピー性皮膚炎の寛解(良い状態を保つこと)の維持に有用な医療行為として推奨されました。それまで難しいとされていた寛解の維持に役立つ治療法であること、また条件付きとはいえ、炎症のない皮膚にステロイド外用薬を塗布する治療法が示されたことは画期的なことです。
気になる安全性に関してですが、ステロイド外用薬で16週間、タクロリムス外用薬で1年間までの観察期間においては,対照群(基剤だけ塗布したグループ)との間で副作用に差が無かったので、比較的安全性が高いと認められました。ただし、それ以上の期間にわたって同様の治療を行った場合の副作用については未知のため、注意深い観察が必要であるとされています。
大事なこととして、この治療は炎症のない状態まで改善した皮膚に行う方法であって、皮膚炎が十分に改善していない場合のものではありません。さらに,プロアクティブ療法を行う皮膚の部位や範囲を決め、開始と終了のタイミングを設定するなど、個々の症例ごとに対応が必要です。そのため、アトピー性皮膚炎の評価に詳しい医師によって行われることが望まれています。
最後に、ニキビの治療用に同じ名称の外用薬が販売されていますが、その薬剤とは全く無関係であることをお伝えしておきます。
オントナ12月6日号に添付の『アトピー性皮膚炎に「プロアクティブ療法(維持療法)」が推奨されています
−ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を週2回程度塗布する方法です−』